横並びだった筈が誤算であったと金融関係に勤める友人の苦労を語る愚痴がなんとなく理解るようになった。
三年前にはスーパー特進クラスができた。もういい歳になっていたので彼は進路指導副主任になった。「先生の関西弁は吉本みたいで面白い」と好評であったのが出世の一因でもあった。来年はウルトラスーパー特進クラスを設けるから頼むよと意気揚揚と校長は彼を呼び進路指導主任及びにウルトラスーパー特進クラスの責任者に抜擢されたのだ。この調子なら間もなくハイパー特進クラスなんてのもできかねないなあと笑っていた矢先のことであった。
しかし、なんでまたこんな時期に履修科目の必修がどうたらこうたら言い始めんならんのんや。前前からこんなことは日常茶飯で常習化していたではないか。マスコミが騒ぎ始めた。また、内部告発する生徒がおってとうとうテレビ局のあほがカメラ付きで取材するという情報が入った。
ばれたらから明日には釈明をしなくてはいけない。生徒が責任を問うて責めまくるやろうなあ。どないせいちゅうねん。
まず偽装した科目は履修させる。何とかなるという代物ではない。校長はノイローゼ気味で、彼に後は任せた対応しろと逃げた。大体有名私立大学に照準を定めているから受験科目を限定させている生徒が多い。うわあ困ったなあ。それより困ったのは推薦入試で毎年十名の生徒を送り出している私立ナンカン大学の対応である。受けてもいない科目を適当にええ成績つけたんやから怒って取り消しっていうて来るやろうなあ。あかんあかん。先だっての推薦入試でナンカン大学に入ることになってるのは理事長の甥っ子や。せやさかいに余計に理事長も及び腰になっとる。そやけど、世の中そんなもんや。
回想するに、彼が高校進学のときには、内申書はズタズタだった。けったくそ悪いもんであった。担任が内申書で公立はあかんと通告すると、それやったら私立に行きますとなった。私立に行くのに内申書は関係ないので他のボーダーラインの公立受験生に融通がつく。それも頭の良し悪しだよ結局はと友人に言われた。
はて世の中そんなもんやで皆を納得させることができるやろうか。あかんやろうなあ。誠意がない、非常識、呆れた教師ってなことになるんやろうなあ。土下座しようか。「謝っても謝って済む問題か」になるしなあ。辞めますでも「辞めて済む問題か」になるしなあ。いじめやなあ。自殺したろうか。自殺したらあかんと常日頃から言っている手前それも憚られる。校長大丈夫やろうか。袋小路や。
よっしゃあと彼に名案が浮かんだ。文部科学省、学校、大学、どちらさんにも弁解は一切いたしません。それ以上は何も語らず高倉健みたいな表情で指詰めたろ。どや男らしいてええやろ。ドス買いに行ってかなくては。よく切れる刃やったら外科でくっつくかも知れんし、マスコミに効果的や。ヤンキー先生ならぬ任侠先生で有名になれるかも知れん(笑)でも痛いやろうなあ。
<この話は虚構で実在のものとは一切関係ございません>




