よい按配じや。日本人は畳じやのう。
「千切木も終うてしもうた。えいやっとな。さてもさても。このまま帰るのは詮無いことぢや。休みの日に少しだけ酒なぞ食ぶるのも一興、ささ参るぞ参るぞ」
「これはいかなこと。なかなか古風な店ぢや。気に入り申した。入るぞ入るぞ、やいやい、店のものおるかやい」
「いらっしゃいませ」
「はあーいたか」
「ああけったいな客来たで、かなんなあ」
「なかなか。さてもさても。麦酒を瓶で頼み申す」
「ビールね、はいはい、あては何になさいます?」
「むむ面妖な。あの品書きのフエイスとやらを何ぢや?」
「ああ、あれ豚のツラミですわ」
「それをくれい」
「ああ食ぶれば食ぶるほど旨い麦酒とフエイスぢや」
「なな、なんと、品書きにエチオピアとあるが(見難くてすまぬ左から四番目串カツの隣)あれはなんぢや」
「あれでっか、あれは豚足ですわ」
「むむ、なにゆゑ豚足のことをエチオピアと申すか」
「エチオピアゆうたらアベベですやん」
「なかなか。アベベが豚足になるのはなにゆゑぢや」
「もう、機転の利かんひとやなあ。アベベは裸足で走ったやんか」
「なかなか。さてもさても。豚足、裸足、アベベ、エチオピアとつながり申すか、やいやいそれは秀句ではあるまいか」
「お客さん、なんでもええけど忙しいねん」
「やいやい品書きにハリケーンとあるがあれは何ぢや?」
「へいへい、とにかく頼んでや」
「大儀ながら麦酒とそれを頼もう」
「来た来たこれがハリケーンと申すのか、ううむトルネードの方が的確でござる。戯れ言の多い店ゆゑどうしたものかのう。これはいかなこと。これはいかなこと、いかなこと」
「お客さあん、結局ひねりが少ないっちゅうていいたいのん」
「地口おちに相成り申した」
追記)どうも狂言愛好家の皆様お見苦しい拙なる駄文お詫び申しあげまする。どうも耳から離れぬのじゃ。侮辱しているわけでは御座らん。
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