2008年11月20日

みぞゆう或いはほうしゅつ

男がソファで文庫本を読んでいると電話が鳴った。
不動産投資の勧誘である。断る。再度かかってくる。きっぱり断ったが間髪おかずに呼出し音が鳴る。
やけにしつこいなあ。迷惑ですから止めてくれよ。少し強い口調で言うと勧誘の男が
「非道いなあ、そんなこと言って、もう中傷ですよ。傷ついたなあ」
このパターンはたまにあるが頗る気持ちが悪い。気分が悪い。でも耐えるしかない。
個人情報は保護されていない。しかし向こうにどれだけの情報があるのかこちらには理解らない。
警察へ事情を話しても、何か具体的な被害はないのですか、電話番号を変えることですねくらいの対応しかとらない。法の下による保護はあるようでない。法が犯されて初めて法治として機能するのであろう。未然に発生しうる犯罪を防ぐ、ああ防犯と呼ぶのだっけ確か。まあ起こってからの話になるんだろうなあ。仕方がなかろう。
再開された勧誘が、立て板に水を流すような紋切り口調である。沈黙していると、どうしたのですか、聞いているのですか、無視するなよおい、と声をかける。時間の無駄だと受話器を置こうとしたら、
「いいんですかぼく近所のものなんだけど、それで近くを知ってるんだけど」
このような場合に下手な対応をすれば、近所の歩道の最前列で赤信号を待つのは止めておこうと思うし駅のホームでも同様である。それでなくても経営に携わっていたので、このような業者に限らず株屋、興信所、政治団体等等に限らず、社内外の関係していたひとたちの恨みが堆積している可能性だって高いかもしれないと被害妄想を抱いているのに。
「あの「みぞゆうこうえん」も知ってるんだとよ、こどもさんも行くのかなあ」
と脅すように言った。直後に受話器の向こうでカタカタとキーボードを叩く音がした。
「ほうしゅつ二丁目のスーパーだって知っているぞ」
男は大笑いした。
まず日本語が読めないんだ。それから、グーグルマップか何かで調べているんだなあ。なるほどなあ。そうゆうわけか。また地名となると特有だから放出を「はなてん」と読めないひともいてるだろう。だから、まあ大丈夫であろう。
男は何がおかしいと怒る声を無視して受話器を叩きつけた。


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posted by 井上勝裕 at 17:16| Comment(0) | TrackBack(3) | 日乗 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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