前回紹介した『
大搾取!
』でまとまらないながらふたつ。
ひとつは、ウォルマートが槍玉にあげられていたが対照的に良心的な企業にコストコの例がある。
シネガルに言わせれば、従業員に十分な給与を与える戦略が、実は経費の節減になっているという。毎年、国内の小売企業に勤める労働者の六十%が辞めてい く。つまり、平均的な労働者は一年半をわずかに上回るほどしか勤めないということだ。ところがコストコでは、移動率は二十%で、平均的な従業員は五年勤め る。一年以上勤めるコストコ従業員だけを見ると、移動率は六%に落ち、平均勤続年数は十七年近くになる。したがってコストコは、紙おむつの陳列場所とか、 フォークリフトの動かし方とかを、次々に入ってくる新人にいちいち教える必要がなくなる。従業員ひとりを新規に採用して教育するのに二五〇〇ドルかかると 言われているから、コストコは大変な節約ができ、そのぶん価格を下げるほうに回すことができる。
(273、274頁より)
これはコストコの創業者シネガルの言で、どちらかといえば従来の日本的な企業風土である。緩い。この緩さはサウスウエスト航空にも類似点がある。
皮肉なことに日本の企業が、殊に中小企業や、大企業でも雇用が買い手市場なので「厭だったらいつでも辞めてくれてもいいよ」とゆう合衆国化的逆行をしている。将来(可能性は低いだろうが)売り手市場になった場合に「じゃあ、辞めよっと」熟練有能社員が言い出してしっぺ返しが来そうであるとわたくしは戒めているつもりだけど。
もひとつは、本書のなかで取り上げられた同じく労働者にとって良環境な職場を供するパタゴニアである。この会社は世界のなかの欧米先進国といった立場なのである。
先日コロンビアとゆうアウトドアのブランドの直営店で冬物のインナーを購入した。店員さんにそそのかされて冬物としては寒そうな自転車用パンツも購入。別に贔屓ではないけど勢いで買ってしまった。
どーもネットで衣服を購入するのには抵抗がある。サイズが合うか理解らないし質感も不明だからである。加えて最安値を探すこと容易であるから、検索にはまってしまい取引コストがかかる。買い物が趣味ならばこれまた別でしょうが。
閑話休題。
わたくし所有の衣服はパタゴニアが多かった。いろいろ選ぶのが面倒だったし。多かったと過去形なのはこの不景気でユニクロが増えてきた(笑)。理由はパタゴニアがブランドになり昔に比べインフレを起こし不当に高いので手が出せないからである。
勿論一点豪華主義は理解る。けれども極端な話、街中の若者が執着して質屋とかオークションで購入するのは異様である。喧嘩売ってるわけではないが消費のバランスが悪さを感じる。例えばドンキホーテ等の安売り店で、少ない品数で貧相で悪趣味な陳列をされているLVの財布やアルマーニのスーツを購入するといった行為の違和感である。同じく高価格の野外用の衣服を大切にしながら着用しているちゅうのが何か変だなあと思うわけである。
逆にユニクロは不当に安い。そう感じるのがブルジョワと非難されるのは承知の上であるが(笑)値引きされると尋常ではないような価格である。イオンなんかも負けじともっと安い価格の設定である。
価格の比較は雰囲気的な表現で赦していただきたいけれど、あるものがユニクロで1,000円(セール価格なら半値または三分の一になる)だとするとコロンビアは4,000円、パタゴニアが9,000円といった感覚であろう。パタゴニアが突出して高い。私見であるが価格に正比例して品質が向上しているとは断言できない。
いずれも支那製である。
パタゴニア社の企業理念はある意味理想的である。正規非正規は存じ上げないが直営店で聾者が働いていたのには驚いた。社員待遇のよさが価格に反映されるわけである。
その理想は理解るが、しかし全ての企業がパタゴニア化するわけにはいかないだろうと思う。これは先進国中進国後進国が混在しているから成立している世界と同じだ。パタゴニア的先進国水準にウォルマート的後進国が上がるわけがない。
なれば楽園だろう資本主義てえのは。収奪が前提になっているから。別にパタゴニアが収奪しているとは申しませんけど。
(追記:パタゴニアは人件費の安い地域で製造し、差益があるからこそ社員が仕事中にサーフィンに行ける。また、その高機能、超高価格な製品の顧客は富める階層であり、それらの人人が遊ぶ道具として需要があるから企業は存続し得る構造が確立している。パタゴニアのカタログを御覧なさい。そこには先進国に属するひとがパタゴニアブランドを着用し自然と対峙している図が写されているが、決して現地の貧しい人人が着用している図は記憶にない。そう考えると嫌悪感が生じて、ユーザーとしてのわたくしは後ろめたさを感じてしまうわけなのだ。
本書は湯浅誠が解説を書いているせいか本書の客観性が損なわれているような気がして残念である)